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伊藤千晃さんと考える「フェムケア」の大切さ。女性が心地よく過ごすために

2017年にパフォーマンスグループAAAを卒業し、アーティストやモデル、タレントとして活動している伊藤千晃さん。2022年に「日本フェムテック協会認定資格2級(認定フェムテックエキスパート)」を取得し、普段から女性の健康と笑顔のために「フェムケア」を発信しています。「フェムケア」は「Feminine(女性の)」×「Care(ケア)」を組み合わせた造語で、ライフステージの移り変わりやホルモンバランスの変化による、女性の身体や心の悩みをケアする製品やサービスのこと。「フェムケア」について学び発信する伊藤さんに、女性が自身の身体や心と向き合うことの大切さについて伺いました。

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女性が身体や心のSOSと向き合うための 新たな選択肢

——「フェムケア」に興味を持ったきっかけは何ですか?

出産をして身体の変化を感じたのがきっかけです。産後に骨盤の開きやホルモンバランスの崩れを感じる方は多いと思います。私もその一人で、パフォーマーとしてずっとダンスをしてきたので当時のように身体を動かせないことに大きなショックを受けてしまい……。周りの人にも相談できずに、どう向き合っていけばいいのか悩んでいた時に知人から教えてもらったのが「フェムケア」でした。ケアアイテムを使用することで身体も気持ちも楽になっていったんです。その経験から、「フェムケア」を通して女性の健康について発信していきたいと考えるようになりました。

——「フェムケア」を日常に取り入れて、身体だけではなく気持ちも楽になったんですね。

そうですね。20代は男女混合のパフォーマンスグループに所属し、音楽業界も圧倒的に男性が多かったんです。その中で、“女性らしい”といわれるような控えめな振る舞いや言動を求められるシーンもたくさんありました。人前で女性が性について話題に出すのは品がないとされていたので、生理による体調不良について悩んでいても周囲に話すことができずに、自分の中に溜め込んで我慢していたんです。なので、ライフステージや環境によってそれぞれが抱える女性としての悩みを、他の人と話し合い、分かち合えることだけでも救われました。

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無理なく続けられる今の自分に合った アイテムとサービスを

——「フェムテック」という言葉も注目されていますが、「フェムケア」とはどのような違いがありますか?

「フェムケア」は女性特有の身体や心の悩みを解決するためのケアをすることです。一方で「フェムテック」の「テック」はテクノロジーという意味で、技術を用いて女性特有の悩みを解決に導くアイテムやサービスを指しています。ただ明確に定義されているわけではないので、しっかりと知識をつけて一つひとつのアイテムやサービスが本当に健康につながるものなのか見極めることが大切だと思います。

——伊藤さんはどのような「フェムケア」や「フェムテック」を日常に取り入れていますか?

毎日使っているのはフェムゾーン(デリケートゾーン)専用のソープです。実は、膣は良い菌と悪い菌がバランスを取ることで健康を保っているんです。ボディソープには汚れをしっかり洗浄する成分が入っていて、膣を洗うと良い菌まですべて落としてしまいます。それが痒みやムレ、黒ずみの原因になってしまうんですよ。フェムソープは一番簡単に取り入れやすく効果を実感できるし、トラブルを防ぐのに重要なアイテムだと思います。

・モアディーテ:https://d-nee-cosmetic.jp/moidite/

伊藤さんがブランドミューズを務めるデリケートゾーンケアブランド「モアディーテ」。フェムケアソープは伊藤さんも毎日使用している。

フェムケアアイテムは高価なイメージがあるかもしれませんが、最近ではドラッグストアでも買える手頃な商品も販売されています。

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——生理に着目したアイテムやサービスは使っていますか?

私は、ナプキンから吸水ショーツに変えました。ナプキンを取り替える時間がない時に、痒くなったりムレてしまったりしてストレスを感じますよね。でも、吸水ショーツに変えてからはそのストレスが大きく軽減されました。生理がきそうなタイミングから吸水ショーツを履くのもおすすめです。「そろそろ生理がきそうだけどまだこない…」というときに、ナプキンを何枚も無駄にしてしまったり、ムレを感じたりすることがなくなりました。普通のショーツと変わらないくらい薄く、デザインのバリエーションも増えているんですよ。

伊藤さんが普段使用しているフェムケアアイテム。吸水ショーツは、使いやすいおしゃれなデザインやカラーのものが増えてきている。

また、生理管理アプリも活用しています。生活する中で落ち込んでしまうこともありますよね。そういう自分の気分の浮き沈みをアプリに記録できるんです。最初はなんとなく記録しているだけでしたが、「フェムテック」について勉強して見返したら、生理の1週間前に気持ちが落ち込んでいることに気がつきました。気分の浮き沈みの一因がPMS(月経前症候群)であると分かってからは、自分の気持ちを「受け流そう」と思えるようになったんです。女性の身体はとても頑張っていると知って、自分にやさしくなろうと思えるようになりました。

——気分の浮き沈みなども管理するアプリがあるんですね。他に女性の心をケアするアイテムやサービスはありますか?

面白いと思ったのは、自分を見つめ直すためのカードゲームです。カードを引くと、自分への質問やテーマが書いてあるんです。「自分の好きなところを褒めてください」と書いてあったら、いつも自分を褒めない人でも自身を見つめ直すきっかけになりますよね。また、パートナーとの心の距離を縮めるためのものもあるんですよ。普段は言い合えないこと、聞けないことも聞けるので、セックスレスの解消や価値観のすり合わせに役立ちます。心の悩みと向き合うのは難しいけれど大切なことなので、こういうアイテムも試してみてください。

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女性がもっと心地良く過ごせる未来を 実現するために、今できること

——女性が性についてオープンに話せない風潮にストレスを感じていましたか?

“女性らしい”といわれるような行動をするのが当たり前だと思っていたので、当時はストレスだと感じていなかったんですよ。それは、子どもの頃から学校などで「女の子は女の子らしく」「男の子は男の子らしく」という意識を植え付けられていたからだと思います。保健の授業では男女で教室や教えてもらうことが分けられていて、男の子の前では生理など性に関する話をしてはいけないと子どもながらに考えていました。そのような社会で生きてきたので、自分が不快に感じていることに気がつきませんでした。でも、それが30代に入り、身も心も我慢の限界になってしまいましたね。

——一児の母でもある伊藤さん。伊藤さんはお子さんに性について教えていますか?

男女とも身体はとても繊細で大切にするべきだと思います。性についても、子どもにも分かる言葉で包み隠さずに教えています。息子はちょうど小学1年生になったので、女の子と男の子の身体の違いに気がつき始めたタイミングです。なので、今のうちから「性について話すのは卑猥なことではなくて、真剣に考えなくてはいけないことなんだよ」と伝えていますね。小さな頃から、男の子にも女の子や女性の身体は繊細だと教えるのは大切だと思います。

最愛の息子さんと。(伊藤さんInstagramより)

——女性が過ごしやすい社会になっていくために、どのようなことが必要だと思いますか?

まず、今の若い世代に伝えたいのは性別に関係なく性について正しい知識を持たなくてはいけないということですね。性に関する話は、人前では話題にしづらいですよね。でも、男性も正しい知識を持っていれば、周りの女性が生理や更年期などで体調を崩した時にも、ちょっとした配慮やサポートができると思います。

女性同士でも性について気軽に話し合うのは大切です。私も「膣からの分泌液は健康状態のバロメーター」と教えてもらいました。分泌液の粘り気を保つことが健康につながるので、膣の中を潤して、粘度を知ることができるセルフプレジャーは女性にとって必要なんです。こういった話は下品でも、恥ずかしいことでもありません。私がSNSなどで性や「フェムケア」について発信することで「千晃ちゃんは普通に『性』の話をしていたな」と、人前で話してもいいと思えるきっかけになったら嬉しいです。もう一つは、若い世代のためにも女性の性や健康について気楽に相談ができる環境が必要です。産婦人科や婦人科は足を運ばなくてはいけないので、思春期を迎えた女の子にとってはハードルが高いと感じるんです。オンライン診療など、誰でも気軽に女性特有の悩みを相談できる場所がもっと増えればいいですね。

女性が身体や心と向き合い、穏やかに過ごすための「フェムケア」や「フェムテック」。難しい言葉のように感じますが、フェムソープや吸水ショーツ、アプリなど、気軽に取り入れられるものが増えています。まずはネットで調べてみたり、周りの人と話してみたりして、自分に合ったアイテムやサービスを日常に取り入れてみませんか?

伊藤 千晃

イトウ チアキ

1987年1月10日生まれ。2017年にダンスボーカルユニット AAA を卒業し、2018年よりソロ活動を始動。 アーティスト、モデル、タレントとして多方面で活躍し、美容・ファッションに関する豊富な知識で同世代の女性からの支持も高い。 2023年3月には、日本フェムテック協会認定資格2級を取得。自らの経験をもとに、フェムテックやオーガニックを通して、全ての女性たちが輝ける生き方について発信している。 

参考サイト

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