長く着られる一着を目指して。「ENOF」を通して学んだ価値のあるものづくり。
個性豊かなインフルエンサーブランドを展開するZOZOのD2C「YOUR BRAND PROJECT」から誕生したブランド「ENOF(イナフ)」。シンプルでタイムレスなアイテムは上質な素材やシルエットの美しさが際立ち、毎回販売するや否や即完売してしまうほどの人気ぶり。そんな「ENOF」が、国内に目を向けて背景や素材にこだわる理由とは?今回は、ブランドディレクターの菅原 美裕さん、プランナーの河野 晴美さんにお話を伺いました。
“これさえ着れば大丈夫”な 「ENOF」のenough服
——「ENOF」のブランドコンセプトを教えてください。
ブランド名は“十分な”という意味の英語「enough」から名付けています。その意味の通り、着るだけでその日のコーディネートが決まったり、心が躍ったり、着る人に“十分だ”と思ってもらえるようなアイテムを届けることを意識しています。「今日は何を着ようかな」とコーディネートに迷った時に、「これさえ着れば大丈夫」と思える服がクローゼットに一着でもあると心強いですよね。
「ENOF」 ディレクター 菅原 美裕さん
——「ENOF」らしいデザインの特徴はありますか。
シンプルで長く着られるデザインが「ENOF」の特徴ですが、中でもサイズ感には特にこだわっており、パンツやスカートなどほとんどのアイテムの丈がデフォルトで長めに設定しています。これはブランドディレクター・菅原の実体験がもとになっているのですが、高身長であるために既存のアイテムだとパンツやスカートの丈が足りないことが多かったんです。
「ENOF」 プランナー 河野 晴美さん
「ENOF」で一番支持を集めているスカートも、ウエスト部分を折り込むことで丈を最大10センチくらい調整できるデザインです。実際に着た時のシルエットも大事にしているので、サンプルは絶対に自分たちで何度も着用して、フレアやスリットの入り方、パイピングの数ミリ単位の太さ加減など、細かいところまで調整するようにしています。
——その他に「ENOF」ならではのこだわりはありますか。
「ENOF」のアイテムは、可能な限り国内の素材を使うようにしています。やはり日本の素材や製造技術は質が高いですし、お客様にお届けできる商品の品質もさらに高めることができると考えています。お客様にも「ENOF」のアイテムを通して「メイドインジャパン」の魅力をもっと伝えていきたいですね。
福井県産「アセテート」を使用したシャツ
——2023年春夏コレクションのアイテムにはどんな特徴がありますか。
爽やかな春夏に合わせて透け感のあるシアーアイテムを多く取り揃え、ナチュラルな肌見せとベーシックを織り交ぜて着まわせるようなデザインにしています。特にイチオシなのが、福井県で生産されている天然繊維「アセテート」のラインナップ。過去に最も支持を集めたスカートの改良版だけではなく、シャツやパンツなど、新しいデザインも続々と出ています。
次の世代が暮らす社会のために 「ENOF」が取り組むサステナビリティ
——「ENOF」でおこなっているサステナブルな取り組みについて教えてください。
「ENOF」では、必要以上の資源を使わないよう下げ札を導入していなかったり、プラスチックを使用しないオリジナルのパッケージに入れ、ビニール袋を使わず発送する取り組みを可能な商品から進めています。最近では、洋服の生産過程で廃棄せざるを得なかった素材を別のアイテムに再利用する取り組みもおこなっています。この巾着バッグは、ジャケットを作った際の余り生地から作られた商品ですが、発売後すぐに売り切れてしまうほどの人気ぶりでした。
——サステナビリティを意識するようになったきっかけはいつだったのでしょうか。
「ENOF」のスタッフにはそれぞれみんな子どもがいるのですが、私自身、出産が大きなきっかけになったと感じています。というのも、子育てをするうちに、子どもたちの未来が今よりももっと良い世界になっていてほしいと思うようになったんです。そう考えると、地球環境のこともしっかり考えていかなければいけないですよね。アパレル業界はどうしても自然環境と切っても切り離せない関係にあるので、洋服を作る立場として今後もしっかりと向き合っていきたいです。
——「ENOF」を通して学んだことや想いなどを踏まえ、今後のおふたりの展望を教えてください。
「ENOF」のお客様と接していると、本当にお洋服が好きで、大切に着てくださる方がたくさんいらっしゃることを実感します。アパレルブランドの立ち上げや運営を通して実際に感じたことですが、今後も“一生身に着けてもらえるものづくり”を意識していきたいです。着なくなったとしても、次の人にまで繋げていくのが本来の服の在り方。アパレルだけではなくジュエリーも含め、長く愛してもらえるように時間をかけてブランドを育てていきたいです。
今回は、長く愛されるブランドを目指す「ENOF」の、服作りへのこだわりやサステナブルな取り組みについてお話を伺いました。本当に服が好きな人たちが作ったブランドだからこそ、向かうべき未来や挑戦していきたいことが伝わってくるインタビューでした。今や、服の背景を知ることは購買動機の大きな一つとなっています。「ENOF」のように、ずっと着続けたいと思える、こだわりが詰まった一着を探してみませんか。

ENOF
イナフ
Jewelry Designer 菅原美裕が手がけるオリジナルアパレルブランド。シンプルで、機能性に優れていたり着心地が良かったり、それだけで充分と思えるアイテムのご提案をしています。