小さくてもできることから。ストリートブランド 「B's INTERNATIONAL」のサステナブルなアクション。
「XLARGE」、「X-girl」、「MILKFED.」、「SILAS」などの多くのブランドを扱う「B's INTERNATIONAL(ビーズインターナショナル)」。1990年代からストリートカルチャーに注目し、ファッション、アート、アニメなどの文化を発信し続けてきました。今回は、「B's INTERNATIONAL」がストリートというフィールドで培ってきたファッション性を活かし、取り組んでいるサステナブルなアクションに注目していきます。SDGsに関するプロジェクトを担当する総務部SDGs室長の野田さんと、広報の岡部さん、庄司さんにお話を伺いました。
ストリートカルチャーを編集し発信し続ける「B's INTERNATIONAL」
——「B's INTERNATIONAL」はどのようなきっかけでサステナブルな取り組みをはじめましたか?
野田 会社として取り組みはじめたきっかけは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs」(※)の存在でした.。
(※)https://www.env.go.jp/earth/sdgs/index.html https://japansdgs.net/
SDGs室長の野田 学さん。個人的サステナブル活動としても長年原宿の商店街の副会長を務め、街の清掃活動を20年以上続けているという。
岡部 最初はスタッフも「SDGs」についてピンと来ていないようでした。実際に取り組む我々が何も知らない状態では意味が無いので、一人ひとりが自分のこととして考えられるようにSDGs実行委員会を設立しました。その際、社内からメンバーを10名ほど選出し、どんな取り組みをするのか、から話し合いました。
マネージャーとして、人事、法務に加えて広報も担当する岡部 千春さん
議論する様子を社内にオンラインで公開し、会社全体に共有。委員会から発信するだけではなく、サステナブル活動に関して全社員が気軽にチャットで投稿できるチャンネルもできました。今では、日頃の気づいたことや意見をスタッフから聞けるので自然と会社全体で取り組めています。
ビーズインターナショナルの代表として“WE ACTION MEETING”にも参加するほどサッカー愛あふれる庄司 和佳菜さん。
——「B's INTERNATIONAL」はサステナブルな世界に向けて、人々にどのような影響を与えていきたいですか?
野田 「B's INTERNATIONAL」は「XLARGE」を筆頭に多くのストリートブランドを手掛けてきました。市場や流行に流されずにブランドが持つ本来のカルチャーや世界観を第一に考えています。ストリートカルチャーは型に縛られずに常に変化するもの。少し前は、アンダーグラウンドの文化として認識されていましたが、今ではアートやファッションのジャンルの一つとして認知されていると思います。僕たちがストリートカルチャーのフィールドで培ってきた感覚を活かして、「サステナブル=かっこいい」というイメージをブランドを通して伝えていきたいと思っています。
ストリートカルチャーだからこそできる サステナビリティへのアクション
——「B's INTERNATIONAL」が組織として取り組んでいる、サステナブルな取り組みについて教えてください。
野田 「B's INTERNATIONAL」は、社内や外部の意見を素直に吸収し「できることから」をモットーに、持続可能な世界をつくるために働きかけてきました。実践しているアクションは大きく分けて2つあります。
1.すべての人が平等に働き続けられる組織づくり
育児時短勤務制度の見直しや育児休暇制度の推進を中心に、性別・年齢・部署にかかわらず、制度を利用し育児をおこなうスタッフが活躍できる環境づくりに力を入れています。特にここ1年は男性の育児休暇取得に力を入れてきました。「なぜ女性だけが産休や育休を取るの?」「女性だけではなく、男性も制度を利用して育児に参加して欲しい」というスタッフの声を聞いて、定期的に説明会などを開催し育児休暇制度の理解を深めていきました。「男性も育児に関する制度を利用するのは当たり前」という働きやすい環境であることが社内の中で広まってきています。
2.持続可能な消費と生産のパターンを確保する
物の廃棄を減らすことからはじめました。以前は生産過程で出るファーストサンプルは廃棄していましたが、今は社内セールやアウトレットで販売したり、児童養護施設へのドネーションや社内でリサイクルして使うなどして廃棄ゼロを目指しています。
会社での大掃除では粗大ごみを毎年捨てていましたが、今はリサイクル会社へ頼んで大きなごみを出さないようにしていて、この取り組みがはじまってから僕の部署では「廃棄」という言葉は禁止になりました(笑)と笑顔で話す野田さん。
——女性が活躍できる社会に向けてのアクションもしているそうですね。
岡部 ジェンダー平等を実現するためのアクションとして、2020年に設立した日本初の女子サッカープロリーグであるWEリーグ(公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ)(※)に所属する全12チームのうち6チームの新ユニフォームを「X-girl」がデザインしています。
23-24シーズンのWEリーグユニフォーム
女性スポーツのユニフォームは男性用の型をただ小さくするだけという製造法が多く、ファッション性は軽視されがちです。私たちは機能性も重視しつつ、スポーツをしていてもおしゃれをあきらめたくないという選手の声を「X-girl」の世界観で表現することを目指しました。ファッションも夢も、自分らしさを大切に生きていく女性たちを応援する想いを込めています。
庄司 日本とアジア太平洋州地域の青少年との相互理解と友好促進を目的とした、外務省が進める人的交流事業であるJENESYS(※)にて、「X-girl」とWEリーグが取り組む活動について講演する機会をいただきました。今はまだ日本のWEリーグでしかユニフォームのデザインを行っていませんが、世界各国の女性アスリートが着るユニフォームを「X-girl」がおしゃれにしていけたらいいですね。
サッカーをするASEAN地域の子供たちにも人気のユニフォーム
——環境保全に対してはどのようなアプローチをされていますか?
野田 環境問題や水質汚染に対するアクションとして、環境にやさしいバイオテクノロジーを使ったシューケアブランド「SNEAKER LAB」を取り扱っています。 元からある「B's INTERNATIONAL」の製品をすべて環境配慮素材にシフトするのは難しいのですがため、このように環境に配慮したブランドを取り扱うことで、少しずつ意識を変えていくことはできると考えています。定番アイテムの「Sneaker Cleaner」は自然界のバクテリアや酵素を原料としており、分子レベルで汚れや臭いに働きかけ、水で洗い流さなくていいので節水や水質汚染対策も可能。パッケージもリサイクル可能な材料のみでできている、地球にやさしいアイテムです。
「B's INTERNATIONAL」が提案していく ファッションの未来について
——今後「B's INTERNATIONAL」が目指すファッションの未来について教えてください。
岡部 以前はタバコを吸ってるグラフィックデザインなどもあったのですが、それは今の時代の流れや、「B's INTERNATIONAL」が考える、かっこいいストリートカルチャーのイメージとマッチしません。ごみをポイ捨てしている姿より、ごみを拾っている方が今は「かっこいい」。「かっこいい」の尺度も変わってきているのではないでしょうか。「B's INTERNATIONAL」がずっとやってきているのは、「かっこいいものづくり」。商品の素材だけがサステナブルでも、ファッション性が欠けていたら魅力的ではないですよね。商品のデザインからも「サステナブル=かっこいい」を発信していきたいですね。
ストリートカルチャーのフィールドで長年培った経験を活かして、「サステナブル=かっこいい」というメッセージを発信している「B's INTERNATIONAL」。ストリートカルチャーが変化するように自分自身の価値観もアップデートして、よりサステナブルな未来に向けて行動していけたらいいですね。
野田学(ノダ マナブ)
1999年に株式会社ビーズインターナショナルへ入社。主にストアオペレーションとセールスに従事。現在、SDGs室長として「人の為に」をモットーに日々奮闘中。また、原宿神宮前商店会副会長として地域活動にも取り組んでいる。
岡部千春(オカベ チハル)
前職の人事、法務のキャリアを活かし2020年に株式会社ビーズインターナショナルへ入社後もマネージャーとして人事、法務に加えて広報も担当。多様な社員が活躍する会社を目指し、パラアスリートの雇用などにも力を入れている。
庄司和佳菜(ショウジ ワカナ)
2020年に株式会社ビーズインターナショナルに入社し人事労務、広報業務に従事。幼少期から現在も続けているJリーグ観戦で培ったサッカー愛と知識を生かし、女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』の選手やパートナー企業らが輪となってジェンダー課題に取り組むプロジェクト“WE ACTION MEETING”にも、ビーズインターナショナルの代表として参加。