ラグジュアリーブランド「ゲラン」がミツバチを保護!ミツバチを通して地球の生物多様性を考える
フレグランスやスキンケア商品を展開する「ゲラン」のシンボルといえばミツバチ。これは「ゲラン」の創業者であり、初代調香師でもあるピエール フランソワ・パスカル・ゲランが、1853年にナポレオン3世の皇后ユージェニーに献上したフレグランスのボトルにナポレオン家を象徴する蜂の紋章を刻んだことに起源するそう。ハチミツなどの天然素材を用いた製品を世に送り出すだけでなく、持続可能な社会に向けたブランドの取り組みとして、「環境の見張り番」であるミツバチの保護活動をおこなう理由などについて「ゲラン」のセシル・ロシャールさんにお伺いしました。
ミツバチと共に歩んできたゲランの道のり
——1828年の創業以来、「豊かな自然」をブランドのインスピレーションの源に掲げていますが、ブランドの成り立ちと自然環境との関わりを具体的に教えてください。
「ゲラン」は創業以来、自然からインスピレーションを受けており、その生物多様性を維持するため、自然保護活動をすべての活動の中心に据えています。特に「ゲラン」が注力しているのがミツバチの保護。「ゲラン」が掲げる「コミットメントの5つの柱」は、全てミツバチに関することに集約されています。ミツバチは「ゲラン」のサステナビリティへのコミットメントの象徴であり、長年のシンボルでもあるのです。
——よりサステナブルな世界の実現のために行動する「ゲランの誓い」と「ゲラン」がコミットメントする「5つの柱」は、どのような目的で制定されたのですか?
“美の名において”、よりサステナブルな世界を実現するため、2007年に持続可能な開発戦略を制定しました。私たちの戦略は、主に5つで構成されています。まず1つ目は、「2026年までに天然素材を使用した商品の生産過程において認証を取得すること」。2つ目はパッケージ、処方、製品の調達に関わる「完全な透明性を誇る持続可能な革新」。2022年、「アクア アレゴリア コレクション」に使用するアルコールをオーガニックアルコールに切り替えたのをきっかけに、2025年までにすべての香水商品でオーガニックアルコールに切り替えることを決定しました。3つ目は、「気候や水のフットプリントを減らすこと」、4つ目は「社会的な課題の解決」、そして5つ目は「従業員への学びの場の提供」です。ラグジュアリーブランドのサステナビリティのパイオニアとして、「ゲラン」はこれら5つの柱を軸にしたミツバチの保護を中心に活動しています。
オーガニックアルコールに切り替えた「アクア アレゴリア コレクション」
——具体的な取り組みの内容について教えてください。
ミツバチを守るための重要な手段のひとつが教育。「ゲラン」はミツバチとその保護について学ぶボランティアプログラム「Bee School」を2018年に創設しました。私達は若い世代の意識を高めることによって、深く永続的な変化がもたらされると考えています。この精神に基づき、 ミツバチの重要性を次世代に伝えるため「ゲラン」の社員は小学校を訪問し、子供たちにミツバチの役割を説明し、この貴重な受粉媒介者を守る方法を教えるためのセッションをおこなっています。
2023年はメキシコにてマヤの女性たちとミツバチの保護に取り組む
また、2020年に開始した「Women for Bees(ウーマン・フォー・ビー)」は、「ゲラン」が設立した最先端の女性養蜂起業家プログラム。女性養蜂家を育成し、世界各地で新たな養蜂事業を立ち上げることを目的としています。 女性の地位向上、ミツバチの保護、生物多様性の保全を組み合わせたこのプログラムは、今日では新たに現地NGOとのコラボレーションを開始するなど 、パートナーとのネットワークを拡大しています。 第1回プログラム(2021年)では、「ゲラン」のミューズであるアンジェリーナ・ジョリーが女性養蜂家たちに直接会い、現在に至るまでその学びをフォローしています。
Women for Bees(movie)
自然の力を利用する立場として、 「ゲラン」がサポートする生物多様性。
——養蜂と生物多様性の関係において、どのような課題があるか教えてください。
栽培されている植物の75%以上、花を咲かせる植物の90%以上が花粉媒介生物(ポリネーター)、主にミツバチによって受粉し、果実を実らせたり種を作ったりしています。ミツバチは数百万年前から花と契りを結び、自然界のバランスを保ってきたのです。しかし、そんなミツバチの死亡率は今や30%(※)に達していて、そのバランスが崩れつつあります。
生物多様性は私たちのクリエーションの中核をなすもので、さらに「環境の番人」であるミツバチは、その生物多様性の中心です。ミツバチを保護することは、持続可能な取り組みに対する私たちのアプローチの大きな指針となるのです。
出典:フランス養蜂観測所(OFA)
——「ゲラン」の製品のサステナブルな特徴は何ですか。
「ゲラン」は、エコデザインおよびエコ・フォーミュラメントに関して、非常に厳しい規則に従っています。製品の原料の特徴であるハチミツは、96%が天然由来成分で構成されていますし、「アベイユ ロイヤル アドバンスト ダブルR セロム」のボトルには20%以上のリサイクルガラスを使用しています。リサイクル性、プラスチックフリー、パッケージのリサイクル材含有率などは、「ゲラン」の持続可能なイノベーション戦略にとって不可欠な要素です。 今後、2023年中に新しいパッケージの100%にリサイクルガラスガラスを配合することを目標としています。
——「ゲラン」が目指す化粧品の未来と、やってみたいことをお聞かせください。
歴史あるラグジュアリーブランドとして、「創造と革新」と「自然 ・文化・社会環境の保護」という2つの要求を調和させなければなりません。ゲランは「Art of Beauty」を発展させるために、今後より一層サステナブルな開発を重視していきます。「ゲラン」のようなラグジュアリーブランドが社会と環境にポジティブな影響を与えることは、バリューチェーン全体にサステナビリティの実践を深く浸透させるという意味で、歴史的な意味を持つと考えています。
「ゲラン」のチーフ・サステナビリティ・オフィサーのセシル・ロシャールさん
「ゲラン」のシンボルであるミツバチは生物多様性に欠かせない存在で、ブランドにとっても地球にとっても守るべきアイコンであるということがわかりました。「ゲラン」のサステナブルなコミットメント、そこから生まれる美の概念を考えながら、ミツバチの生命力を肌で感じてみてくださいね。

GUERLAIN
ゲラン
1828年パリで誕生したフランスを代表するフレグランス・コスメブランド。創業以来、巧みな職人技と最先端技術でフレグランスやスキンケア、メイクアップなど、卓越した製品の数々を世に送り出している。