サステナブルにファッションを楽しむため、進むべき道とは?
「買ったはいいものも1度も着ることがなく、シーズンを終えてしまった」「意外と着まわせなくて登場回数が少ない」……そんな衣類はありませんか?1年間で1回も着ない衣類が、日本人1人あたりで25着もあると言われています(出典:環境省 サステナブルファッション)。ファッションを愛する1人として、またそれ以上にこの地球で暮らす市民として、ライフサイクルの短さや製造時のエネルギー消費・排出量など、ファッションが地球に与える環境負荷は見て見ぬふりをできない段階を迎えています。では、地球にやさしくファッションを楽しむために私たちができることは何でしょうか?
この記事でわかること
- 日本国内におけるアパレル商品廃棄の現状
- ファッションの国フランスでは売れ残ったアパレル商品の廃棄が禁止に
- 古着の購入や衣類の再利用などで、1着を長く着る工夫を
実際にどのくらいのエネルギーを 消費・排出しているの?
ポリエステルやコットン、プラスチックのボタン、金属のファスナーなどさまざまな原材料が組み合わさって1枚の衣類が製造されています。環境省の調査(※)によると、原材料の調達、生産、輸送から廃棄に至るまでの過程の中で排出されるCO2は年間約9万ktと、これは東京スカイツリーの質量の約2,500倍です。さらに、年間東京ドーム約6,700杯分である約83億m3の水がファッション業界全体で消費されており、化学物質による水質汚染も問題の1つとされています。
日本において、衣類の供給量は増加する一方ですが、1枚あたりの価格は低下傾向で、大量生産・大量消費が拡大しています。また、1人あたりの1年に購入する衣類が約18枚、手放すのは12枚(※)と、手放す枚数より購入する枚数の方が6枚も多く、安価な衣類を買っては短期間で捨てるという、ライフサイクルの短期化による大量廃棄が問題です。
手放す方法としては、「可燃ゴミ、不燃ゴミとして廃棄」が全体の68%と最も多く、古着として販売したり、他の人に譲るなどして再流通する衣類が全体の14%、資源回収や地域・店頭で回収される衣類が18%。再利用されている衣類は全体のわずか34%しかないのです(※)。
出典:令和2年度「ファッションと環境」調査 調査期間:2021年1月12日~1月14日の3日間 対象:2020年内に服の購入実績がある、日本在住の15歳以上男女 2,000人
“ファッションの国”フランスで始まった、 売れ残り廃棄禁止の法律。
2022年1月、多くのラグジュアリーブランドを輩出するフランスで、ファッション業界に衝撃を与える法律「衣服廃棄禁止令」が施行されました。企業が、売れ残りの衣類を焼却や埋め立てによって廃棄することを禁止する法律です。今後、売れ残りの衣類は、寄付やリサイクルが義務付けられ、違反した場合は最大で約190万円の罰金を支払うことになります。
これを受けて、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会は衣類のサステナビリティを強化する方針を発表しました。2030年までに、欧州で販売される繊維製品においてリサイクル繊維の使用を義務付け、大量に売れ残った衣類の廃棄を禁止する方針を含みます。また、大量生産・大量廃棄の影にある、アジアやラテンアメリカの発展途上国での劣悪で非人道的な労働環境についても指摘。この方針は、衣類の再利用と修理を促進し、根本的な廃棄の問題の解決に繋がると考えられています。
みんながよく知る、あのラグジュアリーブランドも「サステナブル」に注目。
欧州の名門ファッションブランドである「STELLA McCARTNEY」や「Chloé」などが、CO2排出量削減に向けて廃棄物のアップサイクルを取り入れるなど、「サステナブル」はラグジュアリー分野でもホットなキーワードです。
イタリアの老舗ラグジュアリーブランドの「GUCCI」が2021年にオープンしたオンラインコンセプトストア「Vault」では、新品の商品だけでなく、セカンドハンド商品(中古品)も展開されています。
日本でも古着市場は拡大傾向。 まずは私たちにできることを。
リサイクル通信の調査(※)によると、2020年の国内リユース市場では「衣類・服飾品」が前年比で11.1%増加。日本でも古着市場は拡大しています。ファッションブランドやデザイナーはもちろん、私たち一人ひとりが、世界の変化を受け止め、ファッションに対する考えを改める時期が来ているのです。「サステナブル」がファッション業界の新スタンダードになる日もそう遠くないでしょう。
出典:リユース業界の市場規模推計2021(2020年版) https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_6396.php
サステナブルにファッションを楽しむために、私たちがまずできることは、今持っている衣類を長く着ること。そのために、衣類を購入する際に、自分が本当に必要か検討してみたり、生産背景に目を向けたりすることは重要なことです。
次のステップは、衣類を再利用してファッションを楽しむこと。手放す予定の衣類を友人に譲ったり、衣類を購入する際に古着を探してみたり、少しずつファッションに対するアクションを変えてみるのはいかがでしょうか。
衣類の大量廃棄による環境負荷は、私たちがファッションを長く楽しむために1人ひとりが考えなければいけない問題。衣類の再利用、古着の購入、原料の確認など、まずは自分でできることからトライしてみましょう。


