「THE BODY SHOP」が訴えかける、化粧品製造の動物実験反対とコミュニティフェアトレード
1976年にイギリスで誕生し、社会に変革を起こし続けているビューティブランド「THE BODY SHOP」。創業者アニータ・ロディックの理念を継承し、ブランド設立当初から自然に寄り添ったエシカルでサステナブルなものづくりをおこなうと同時に、社会で起こっている様々な問題に対して声を上げ、社会と環境の変革に取り組んでいます。コスメブランドという枠にとらわれず、世界をより良くするために行動し続ける背景とは?知ればもっと好きになる「THE BODY SHOP」の魅力を紐解いていきます。
この記事でわかること
- 創業時から社会や環境問題に変革を起こしつづけるブランド
- 世界中の化粧品製造における動物実験反対に大きく貢献
- 「援助ではなく、取引を!」貧困を解決する仕組みづくり
「THE BODY SHOP」のサステナビリティ
——「THE BODY SHOP」のサステナブルな取り組みについて具体的に教えてください。
私たちは「より公正で美しい世界のために立ち向かう」をパーパスに、社会、環境によい良い変化をもたらすためのさまざまな取り組みをしています。大きく力を入れているものとして、動物実験反対とコミュニティフェアトレードがあります。前者については、1989年にビューティブランドで化粧品製造における動物実験反対に初めて声を上げたのが「THE BODY SHOP」でした。これまでも、何度もキャンペーンと呼ばれる、社会に問題を知らせるための活動をおこなってきました。2017年~2018年の15カ月間における「化粧品の動物実験反対」キャンペーンで集まった署名は830万筆。全世界で化粧品の動物実験を禁止するための国際条例の執行を求め、ニューヨークの国連本部へ署名を提出しました。
——動物実験を禁止する国も増えている中で、今も全世界の約80%で動物実験がおこなわれていると聞きます。ハードルになっているものはなんだと思いますか。
「THE BODY SHOP」では、人々の美しさのために動物が危害を加えられるべきではないと考えています。主に法的な問題と消費者の購入視点があるかと思います。一人ひとりの消費者がどの商品を選択するかは、社会変革の最も大きな力となります。化粧品においても、動物実験した製品が売れなくなれば、メーカー側も変わらざるを得ません。そのため、お客さまの意識を変える上でも、「問題を知らせるための活動(キャンペーン)」はやはり大きな力を持つと信じています。
「THE BODY SHOP」の商品は全てがクルエルティフリー。原料から製造過程の全てにおいて動物を犠牲にすることなく作られています。今後は全製品で「The Vegan Society」のヴィ―ガン認証の取得を目指して、より透明性を高くし、消費者の方にもわかりやすく商品を展開していく予定です。日本でも、よりクルエルティフリーの考えを広げていきたいです。
Brand&Activism PR 園部 智子さん
コミュニティフェアトレードについて
——「THE BODY SHOP」独自のプログラムである、コミュニティフェアトレードについて教えてください。
コミュニティフェアトレードは、1987年から継続して取り組んでいて、今年で37年目になります。コミュニティフェアトレードとはブランドの創業者アニータ・ロディックが創業当時から変わらず大事にしていた「貧困を解決したい」という理念に基づいて「援助ではなく取引を!」をコンセプトに掲げて始めたブランド独自のフェアトレードプログラムです。これまでは原料やアクセサリー類でコミュニティフェアトレードを実施してきましたが、2019年からはパッケージでもその取り組みを実施しています。
インドでは、街中に捨てられたごみの中からプラスチック等の有価物を拾って売ることで収入を得るウェイストピッカーと呼ばれる人たちがいます。我々はその方たちと公正な取引をすることで、そのプラスチックを再利用しています。この取引でリサイクルされたプラスチックは、「THE BODY SHOP」のアイコンでもあるボディバターなどの容器の一部に採用しています。
店舗での取組みについて
——実際の店舗ではどんな取り組みがおこなわれているのでしょうか。
新店舗を中心に、詰め替えサービスを提供するリフィルステーションを設けるなど、よりサステナビリティに特化した「コンセプトストア(アクティビストワークショップ)」を世界的に増やしています。日本では、引退した東海道新幹線車両の再生アルミを店内のレジカウンターや棚などの什器として活用するユニークで画期的な取り組みもしています。また、店舗だけでなく自宅でも「THE BODY SHOP」のパーパスを感じてもらえるアイテムとして、クリーム類などをすくう際に使う「再生アルミスパチュラ」も全国で発売しています。スパチュラは人気商品で、新たにスプーン型も発売しています。
創業者アニータ・ロディック。ブランドでは創業当時からリフィルサービスを展開。
——「THE BODY SHOP」のアイテムは、創業当時から一貫して変わらない理念に基づいているのが何よりの魅力。これまでに発売したアイテムの中でも特に反響や人気のあったものはありますか。
人気のフレグランスに「ホワイトムスク」があります。かつて「ムスク」の香りは、ジャコウ鹿の性腺から取れる動物性香料が使われていましたが、100%クルエルティフリーの合成ムスクを開発し、クリーンな香りとして誕生したのが「ホワイトムスク」でした。その他、動物毛ではなく人工毛を使用したメイク用のブラシや、コミュニティフェアトレードで調達したシアバター配合のクレンジング「サンプチュアスクレンジングバター CA」も人気が高いです。
「THE BODY SHOP」が目指すゴール
——さまざまな活動や商品を通して、「THE BODY SHOP」が目指すゴールとは?
私たちは、問題に声を上げるだけではなくて自分たちの活動で世の中によりよい変化をもたらす“チェンジメーカー”であることを目標にしています。事業と社会変革を両立させるために大事にしているのは「利益」「社会へのポジティブなインパクト」「環境へのポジティブなインパクト」の3つのボトムラインです。グローバルに店舗を展開しているので、世界各地で動けるのも大きな強みですね。
前述のとおり、一人ひとりの消費者がどんな商品を選択するかは、社会変革の大きな力となると信じています。日本においても、全国に店舗があることも「THE BODY SHOP」の特徴の一つです。店舗でたまたま手に取ったボディクリームやスキンケア商品から、「クルエルティフリー」や「フェアトレード」などを知るきっかけとなり、一人でも多くの方がブランドの理念や活動に共感し、応援してくださるととても嬉しいなと思います。
「THE BODY SHOP」が目指すのは、ビジネスを両立させつつ、同時に世の中に良いインパクトを与えること。自分の買い物が社会を変えるきっかけになると考えてみると世界が広がって見えるかもしれません。商品のバックグラウンドや、社会問題を知らせるキャンペーンなど、ブランドが仕掛けるその先のアクティビズムにも注目してみては?

THE BODY SHOP
ザボディショップ
ザボディショップは、アニータ・ロディックが1976年に英国ブライトンで創業した世界的な化粧品ブランドです。エシカルかつサステナブルな方法で製造された高品質でナチュラルな製品を提供することで、世界にポジティブな変化をもたらすことを目指しています。