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宇宙が教えてくれる、地球環境とサステナビリティ【前編】

「地球に優しく」「環境のために」という言葉はよく耳にしても、その背景にある地球の実態はどんな状況なのでしょうか。今回は、宇宙から見た地球とサステナビリティをテーマに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)第一宇宙技術部門地球観測研究センターの山本 晃輔さんにお話を伺いました。

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宇宙から地球を俯瞰して見る。 観測データが教えてくれる地球の現状

——山本さんが宇宙に関わる仕事を選んだきっかけを教えてください。

山本 子どもの頃から宇宙に対する漠然とした憧れは持っていましたが、将来の職業として考えていた訳ではありませんでした。大学では工学部で「雨が降ったら川の水はどこへいくのか」といった、水の循環をシミュレーションする研究を専攻してきました。

自然が多く、農業を営む人が多い環境で育ったため「子どもの頃は川遊びが好きで、水は常に身近な存在でした」というJAXA(宇宙航空研究開発機構)第一宇宙技術部門地球観測研究センター 山本 晃輔さん。

水循環の研究では、地球上の水の状況を見るために、JAXAの衛星などが宇宙から観測したデータを使うこともあるのですが、ここで初めて「水循環」と「宇宙」の接点に気づき、JAXAで働くことを選びました。

——山本さんがJAXAでご担当されているのはどういった分野ですか?

山本 私が所属している地球観測研究センターでは、人工衛星が宇宙から地球を観測して送ってくれる様々なシグナル・情報を基盤システムを使って意味のあるデータに変換し、それを様々な分野で活用してもらうための研究開発をおこなっています。宇宙から衛星の目を通して地球を見ているチーム、といえるかもしれません。
中でも私は、主にGPM/DPRという「雨」の観測に特化した衛星を担当していて、日々の気象予報や防災のためのデータとして提供しています。その他には、水蒸気や地面の水分、海面の状態など、地球上の水を多角的に観測する衛星もあり、同じように気象予報などに活かされています。実は、JAXAの人工衛星はみなさんの生活とも密接に関わっているんです。

https://www.satnavi.jaxa.jp

山本さんのチームが担当する衛星の模型。雨の状態を3Dで観測する「GPM主衛星」(右)と、水蒸気、地面の水分量、海面などを広範囲に観測する「しずく」(左)。

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観測衛星が教えてくれる、 いま、地球で起きている変化

——宇宙のデータから分かる地球の変化には、どんなことがありますか?

山本  わかりやすい例として、世界第4位の面積を誇っていた大湖「アラル海」が縮小していく様子を、宇宙からの観測データがとらえています(※)。近隣でおこなわれた大規模な灌漑(かんがい)農業により湖面が縮小し、周辺の生物環境も変わってしまいました。人間活動が環境に影響したケースだといわれています。

(※)https://earth.jaxa.jp/ja/earthview/2022/04/22/6925/index.html

画像提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

山本 ほかにも、最近の地球観測データを過去の記録と比較することで、様々な地球環境の変化が明らかになっています。特に、2023年の海面水温(※1)は過去の記録を大幅に上回り、その異常な状態に私たちの間でも衝撃が走りました。他にも、冬の南極域の氷の面積(※2)が最少を記録したり、高温による森林火災(※3)の増加が示唆されたりと、特別な一年であったことが分かっています。

(※1)出典:気候変動2023 第1回:海面水温の上昇とエルニーニョ現象 – JAXA 第一宇宙技術部門 Earth-graph https://earth.jaxa.jp/ja/earthview/2023/08/31/7718 (※2)出典:気候変動2023 第2回:南極域の冬季海氷面積が最小記録を更新 – JAXA 第一宇宙技術部門 Earth-graphy https://earth.jaxa.jp/ja/earthview/2023/10/11/7763 (※3)出典:気候変動2023 第3回:森林火災と地球環境 – JAXA 第一宇宙技術部門 Earth-graphy https://earth.jaxa.jp/ja/earthview/2023/12/25/7899

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地球の現状を自分ごと化するためにできること

——山本さんから見て、今の地球環境はどれほど危険な状態だと感じていますか?

山本 非常に危機感を持っています。ただ、私たち研究者が単純に観測データを示して、「地球が危機的状態です。アクションを起こしてください」と呼びかけるだけでは、多くの人はピンとこないのではないでしょうか。地球環境を良い方向へ変えるために、まずは身の回りの環境に興味を持ってもらえるよう、私たち研究者も情報発信の仕方を工夫する必要があると考えています。


たとえば、いま若手研究者を中心に取り組んでいるのが、「ゆるさ」をコンセプトに取り組んでいる「サテらいふ」というYouTubeチャンネルです。気軽に見れますので、ぜひみなさんに一度ご覧いただけると嬉しく思います。

「サテらいふ」とは、サテライト(Satellite:衛星)×らいふ(Life:生活)の意味。 ・https://www.youtube.com/channel/UCQMItBB0MEEMqU0AZnxstdw

前編では、JAXAで地球観測を担当されている山本さんに、宇宙から見た地球の変化や、データから見えてくる気候変動の影響についてお話を伺いました。後編では、私たちの暮らしと地球の変化との関係について考え、日々の生活の中でできるアクションについて山本さんと共に考えていきます。


山本晃輔(ヤマモト コウスケ)
工学研究科 社会基盤工学専攻修了。JAXA(宇宙航空研究開発機構)第一宇宙技術部門地球観測研究センターにて、全球降水計画(GPM)主衛星の利用研究や陸上の水循環シミュレーションシステム(Today’s Earth)の研究開発・運用などに従事。趣味は音楽(DTM作曲、ギター・ピアノ・サックス演奏)、旅行、自転車。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)

ウチュウコウクウケンキュウカイハツキコウ(ジャクサ)

2003年に宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合して誕生。
2015年4月には、国立研究開発法人となり、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関と位置付けられ、同分野の基礎研究から開発・利用に至るまで一貫しておこなっている。

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