回収衣類のポリエステルからアイテムをつくる。BRINGが展開するリサイクルの形
ファッション業界においてサステナブルな波が広がる今、ひと際ユニークな輝きを放つのが「BRING(ブリング)」です。BRINGでは不要になった衣類から、新たに繊維を生み出し、また新しいファッションアイテムをつくり出すという独自のリサイクルを実践しています。このリサイクルの仕組みはBRINGの強みとなっており、様々なブランドと衣類回収を展開することで、衣類の廃棄問題の解決に取り組んでいます。ブランドが歩んできた道のりと、展開しているアイテムの魅力について同ブランドのEC Store Managerである嶋田泰良さんにお話しを伺いました。
服から生まれたオリジナルの リサイクルポリエステル繊維
——BRINGは、日本のアパレル業界の中で、いち早く再生繊維やリサイクル繊維の事業に取り組んできました。企業としてのこれまでの歩みや、ファッションブランドとしてオリジナルアイテムを展開されるようになった経緯を教えてください。
当社の会長である岩元美智彦が、会社員時代、ペットボトルリサイクル繊維を用いたユニフォームの営業をおこなっていたのですが、仕事を続ける中で、販売後のユニフォームをリサイクルすることが現代の技術では難しいことに気づきました。その問題解決のために2007年に日本環境設計(現JEPLAN)を創業し、繊維のリサイクル事業が始まりました。BRINGのウェアブランドができたのは2021年で、最初はTシャツ一種類からのスタートでしたが、ここ数年でシーズンごとの品数も増え、ブランドとしての姿勢が明確になってきたように感じます。
——衣類回収の取り組みを拡大していくなかで協業するパートナーは、どのように広げてきたのですか?
リサイクルのパートナーや、商品化をおこなうブランド、ともに最初はとにかく地道な営業活動を続けてきました。ここ数年はマラソン大会に協賛するなど知名度も上昇し、現在では、当社からアプローチすることもあれば、逆にサステナビリティへの意識が高い企業様から、当社のリサイクル繊維、再生繊維用の回収ボックスを導入したいという声をいただくこともあります。
——BRINGのサステナビリティ実現に向けた活動で、特徴的な点があれば教えてください。
回収した衣類が「衣類から衣類へ」と生まれ変わり、実際に新しい衣類の一部として使われているという部分までお客様が実感できる点だと思います。回収した衣類をポリエステル樹脂に戻して、そこから再び糸を作る。このようにして作られた糸や生地を当社では「BRING Material™(ブリングマテリアル)」と呼んでいます。この素材が新たな製品となり、再び店頭に並ぶ、そんな循環のプロセスを具体的に可視化できる点が、BRINGの大きな魅力だと思います。
——こういった活動を続けるうえでの難しさは?
お客様から回収した衣類をもとにリサイクルをおこなっているので元手がかからないというイメージを持たれがちですが、実際には、衣類をプラスチック樹脂に変換する中で多くの人や工場を稼働させるためのコストが必要になります。そのためBRINGのアイテムは、作業行程に見合った価格を設定しており、「リサイクル品だから価格が抑えられている」というわけではありません。今後も、より良いサービスを提供するために、このような仕組みがあることを知っていただけたらと思っています。
温度調整、速乾性など、機能性抜群な 「BRING Material™」
——石油などから繊維製品をつくるバージン素材と、BRING Material™の再生繊維では、どのような違いがあるのでしょうか?
繊維の特徴は樹脂を合成する段階で変わるのですが、バージン素材用の樹脂とBRING Material™用の樹脂では大きな違いはありません。逆に言うと当社の技術を用いることでBRING Material™の再生繊維をバージン素材に近いクオリティでつくることができます。ポリエステルは様々な生地の原料となり、当社がBRING Material™のメインとしているDRYCOTTONYという生地は肌触りがコットンに近く、乾きやすいのが特徴です。環境への負荷についても石油由来のバージン素材と比較して49%のCO2排出量削減効果があります。(※1)
——BRING Material™を使って自社でブランドアイテムを展開する意義について教えてください。
「衣類の廃棄問題を解決するには、再生繊維で作られた製品を多くの人の手に届ける必要がある」と考え、最初は世界で最も着られている服と言われているTシャツをつくることからスタートしました。特にシェアの高い綿の質感をポリエステル生地で再現できれば、それが新たなスタンダードになると考えたのです。
——デザイン面でのこだわりは?
Tシャツ以外のアイテムもスタンダードでシンプルなデザインが多いのですが、これも多くの人に使ってもらいたい、ジェンダーを問わず日常で使えるアイテムを提供したいと考えています。ブランドが成長していく中でファッション性が高いアイテムも増えてきていますが、この姿勢は基本的に変わっていません。最近ではアウトドアシーンで活躍するアイテムも増えてきています。幅広い年代の方やシーンで使ってもらいたいので、あまりデザインを偏らせないように意識しています。
——コットンライクなポリエステル生地のシリーズ「DRYCOTTONY」と同時に展開されている「WUNDERWEAR」の特徴についても教えてください。
これは当社の再生ポリエステルとメリノウールを混合した素材で作ったシリーズになります。メリノウールの特性として高い防臭効果があると言われており、ロングトレイルなど、なかなかシャワーを浴びることができないシーンなどでも活用されています。調温性が高いので夏でも快適に着ることができ、寒い時期には自分の体温で身体を温めてくれるので、機能系の素材に比べるとオーバーヒートしにくくなっています。そこにポリエステルを混ぜていることで洗濯がしやすく、耐久性が高いのもメリットです。
DRYCOTTONY
WUNDERWEAR
スタッフおすすめアイテムと今後の展望
——最後に、BRINGが目指す方向性やビジョンについて教えてください。
会社としては、BRING Material™で作られた生地を広く普及させるため、現在よりもさらにたくさんのユーザーに名前を知っていただきたいです。2025年からは従来の要素に加え、よりファッショナブルなテイストも打ち出しているので、ファッション感度の高い若い世代にもアプローチしていきたいですね。あと、これまで繊維のリサイクル原料として重宝されていたペットボトルが現在、供給不足になっていると言われていますが、当社では、衣類to衣類、ペットボトルtoペットボトルへなど、あるべき姿で循環させる「平行リサイクル」をモットーとしており、今後もその姿勢は貫きたいと思っています。
※本記事は2026年3月時点の取材に基づいた記事です。

BRING
ブリング
BRINGは繊維から生まれた再生ポリエステル「BRING Material™」をコア素材に使用。アクティビティと日常生活をシームレスに繋げる、機能的で多用途なアパレル製品をオールジェンダー向けに提供します。











