「ファッションの力でつくる、新しい働き方」
快適で働きやすい服装として注目される「ナチュラルビズ(通年軽装)(※1)」。千葉市では、職員の服装の選択肢を広げ、多様で柔軟な働き方を推進するため、この取り組みに力を入れています。
今回、「ナチュラルビズをより一層推進したい」という千葉市の想いと、「働く人をカッコよくしたい」というZOZOの想いが重なったことから、千葉市とZOZOが連携し、「カジュアルビジネススタイル(カジビジ)(※2)」のアイテムを開発、ZOZOTOWN限定で受注販売することが決まりました。さらに、千葉市の服装規定をもとに、シゴト服選びの基準をわかりやすくまとめたガイドラインを新たに制作、ZOZOTOWNの特設ページで公開しています。千葉市とZOZOが一緒に取り組むことで、千葉市から全国に向けてカジビジを広げていきます。
本対談では、千葉市長の神谷 俊一氏と、ZOZOの代表取締役社長兼CEO 澤田 宏太郎が、千葉市とZOZOが連携して取り組むことになった背景や狙い、期待する未来について語り合いました。
※1 千葉市では、職員の多様で柔軟な働き方とワークスタイルの変革に取り組む一環として、快適で働きやすい服装で勤務する「ナチュラルビズ(通年軽装)」を導入しています。(2024年5月1日:通年軽装(ナチュラルビズ)を導入しました)
※2「カジュアルビジネススタイル(カジビジ)」は、千葉市とZOZOが連携し開発した、迷わず選べる新しいシゴト服のことです。
カジビジを着てみて
本日はお二人に、10月1日にZOZOTOWN限定で販売開始したカジビジアイテムを実際に着ていただきました。まず、着心地はいかがでしょうか?
神谷市長普段着ているYシャツやジャケットと比べて、本当に軽くて驚きました。気持ちも軽やかになったように感じます。庁舎内を移動してもストレスがなく、職員からも「新鮮でいいですね」と好評でした。服装の変化が、気持ちの変化につながることを実感しましたし、デザインも落ち着いていて、仕事にちょうどいい服ですね。
澤田市長の着こなし、とてもバランスがいいですね。ビジネスでの服装は“無難さ”で選ばれることが多いですが、その中に少しでも楽しさを加えることができると、日々の仕事も前向きになれますよね。保守的すぎず、かといってやりすぎない、そのちょうど良いバランスがとれているのがポイントだと思います。
市長が着る、カジビジスタイル
シゴト服に求めるもの
澤田CEOが、普段シゴト服を選ぶときに意識されていることはなんですか?
澤田最も大切にしているのはサイズ感です。一日の半分以上を着て過ごすものなので、体にフィットしないとストレスになります。今回開発したカジビジアイテムは、身長と体重を入力するだけで自分の体型に合ったサイズが選べる「マルチサイズ」という仕組みを活用しています。マルチサイズ(※3)はZOZO独自の計測テクノロジー「ZOZOSUIT」等で得たデータを活用しているので、千葉市職員の皆さんのサイズに関する悩みも解決できると思います。
神谷市長確かに、同じサイズの服でも商品によってフィット感が違うことが多いですよね。身長と体重をもとに最適なサイズが分かるなら、その不安が一気に解消されますね。そうした工夫があれば、「自分に合うかな?」という不安がなくなり、もっと気軽に新しい服を取り入れられるようになると思います。
※3「マルチサイズ」とは、お客様がZOZOTOWN上で身長・体重を選択するだけで、豊富なサイズ展開の中から体型に合ったアイテムを購入できるサービスです。縦と横で異なるサイズの商品を生産することができるため、最大56サイズの商品展開が可能です。
千葉市とZOZOが連携した背景
今回、「ナチュラルビズをより一層推進したい」という千葉市の想いと、「働く人をカッコよくしたい」というZOZOの想いが重なり、アイテムの開発や、千葉市の服装規定をもとにシゴト服選びの基準をまとめたガイドラインの制作が実現したと聞いています。
神谷市長率直に、なぜ千葉市と連携して取り組もうと思われたのですか?
澤田ZOZOTOWNは、これまでカジュアルファッションを取り扱ってきました。現在、ビジネスの場でも服装のカジュアル化が進んでいますが、ビジネススーツからカジュアルな服装へと移行する途中で、どう着こなせばいいか迷っている人が多いと感じています。そのような中で「ナチュラルビズ」を導入した千葉市の話を聞き、私たちの知見を活かして「これこそがシゴト服の正解」という基準を提示できれば、職員の皆さんが迷わずストレスなくシゴト服を選べるようになると考えました。市民への見え方、職員の働きやすさ、千葉市の想い、この「三方よし」に貢献できると確信し、千葉市と一緒に取り組むことに決めました。
神谷市長公務員の服装は、固定観念が強く、これまで型にはまりがちでした。「ナチュラルビズ」はその殻を破る第一歩です。ZOZOの力を借りて新しい常識をつくっていけるのは心強いですし、職員にとっても「市とZOZOが一緒に進めている」ということは安心材料になりますね。
服装規定のアップデートと千葉市の職員の反応
「ナチュラルビズ」を導入した後、今年8月には「Tシャツ」の着用を解禁したと伺いました。職員の皆さんの反応はいかがでしたか?
神谷市長「ナチュラルビズ」の導入に関しては、「雰囲気が明るくなった」と好意的な声が多いです。また、8月25日からはTシャツ着用も試験的に解禁しました。ナチュラルビズ導入前のアンケートでは賛否が分かれていましたが、その後の軽装の定着や昨今の急激な気温上昇もあり、踏み切りました。 ただ、どこまで許されるか不安で、無難な服装を選んでしまう人も一定数います。そのため、ZOZOにコーディネート例とともにナチュラルビズの基準を示してもらえたことは非常に大きいです。清潔感を大事にしながら、少しずつ市民の理解も広げていきたいです。
澤田服装規定が少しずつアップデートされているのですね。例えばですが、デニムなども選択肢に入れば、さらに広がりが生まれるのではないでしょうか。
神谷市長そうですね。デニムは、耐久性や機能性に優れているので、今後の選択肢の一つになるかもしれません。小さな実績を重ねながら、段階的に広げていきたいです。服装一つで「市役所って変わったな」と市民に感じてもらえることは、千葉市に対する印象の大きな変化につながりますね。
服装から変えていく、まちの未来
服装の変化は、組織や社会にどのような影響を与えると思いますか?
神谷市長装いが変われば、気持ちが前向きになります。その変化が職場全体に広がり、ひいては街自体も未来志向に変わっていく。ファッションの力はとても大きいと感じます。カジビジアイテムを着用し、庁舎ですれ違った職員の驚いた表情を見たとき、「街全体のポジティブな変化はここから広がっていく」と確信しました。
澤田私たちの会社でも、日常で「その靴いいね」といった会話が自然に生まれます。ファッションはコミュニケーションのきっかけになるんです。行政と組むことで、こうした文化を広げられるのはとても嬉しいことです。ファッションが「会話の入口」になると、組織の空気は一気に変わりますよね。
最後に一言お願いします。
神谷市長職員が自分らしく働き、力を発揮できる環境をつくることが、市民サービスの向上や行政への信頼につながると考えています。服装から始まる変化が、魅力あるまちづくりや市のイメージ向上につながることを期待しています。
澤田ファッションの力で人を笑顔にしたいと思っています。この千葉市の取り組みをロールモデルに、ファッションで「新しい働き方のスタンダード」をつくり、全国に広げていきたいです。
神谷 俊一(かみや しゅんいち)
- 1996年旧自治省に入省、2001年在ヨルダン日本国大使館、2010年佐賀市副市長、2012年総務省自治行政局地域政策課理事官を経て、2013年より千葉市経済農政局経済部長、経済農政局長、副市長。
- 2019年総務省自治行政局外国人住民基本台帳室長を経て、2020年に退官。
- 2021年3月に千葉市長に初当選。
- 今年3月に再選、現在市長2期目。52歳
澤田 宏太郎(さわだ こうたろう)
- 1970年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTデータ入社。
- その後、コンサルティング会社2社を経て、2008年5月、アパレルメーカーの自社ECサイト支援業務を手がける株式会社スタートトゥデイコンサルティング(2013年8月に当社に吸収合併)を設立し、代表取締役に就任。2013年6月、当社取締役に就任。
- 2019年9月、当社代表取締役社長兼CEOに就任(現任)。
- 2022年8月、株式会社ZOZONEXTの代表取締役CEOに就任(現任)。




