eloveロゴ
フィーチャー

羽毛が繋ぐ「Green Down Project」のあたたかなバトン【後編】

ダウンをリサイクルして製品をつくる“Green Down Project”の理事長、長井 一浩さんと羽毛専業メーカー河田フェザー代表取締役である河田 敏勝さんのインタビュー後編です。

この記事でわかること

  • “Green Down Project”では障がい者の雇用や働く環境なども大切にし、社会復帰を助ける
  • プロジェクトに参加する方法は、広める、回収に協力する、商品の購入の3つ
  • 新毛で販売される羽毛ふとんの10%にあたる300万トンのリサイクルダウン回収を目指す
1

障がい者の皆さんと共に作りあげる リサイクル羽毛

——“Green Down Project”では障がいを持つ方の雇用も生んでいるとお聞きしました。

長井さん(以下、長)「以前、私が社会福祉協議会にいた時、障がい者の方々の仕事を探すという業務に携わっていました。羽毛の安定供給だけでなく、障がいを持った人々との仕事を作ることも大切にしています。複合的な社会解決のための取り組みにしたいと思っているんです。現在河田フェザーさんでは、就労継続支援B型事業所から約8名が施設外就労という形で、羽毛ふとんやダウンジャケットを解体する部門で働いています」

河田さん(以下、河)「勤務時間も限られていますからね。同じ作業量であれば、同じ金額を出したいです」

「通常B型事業所ですと、平均月収は1万5千円弱程度ですが、こちらで就労すると月収が約8万円になるんですよ。本当にありがたいですよね。皆さん、すごく丁寧に手際よく作業されています。働いている障がい者の皆さんも自ら回収に関する情報のチラシを近所にポスティングしたりと、自分たちの仕事を作るために動いてくれたりして。凄く嬉しかったのが、羽毛の解体作業についてメディアなどで紹介されたときに障がい者の皆さんが『この取り組みの一部を自分たちが担っていると思うと作業に自信と誇りを持てた』と話してくれていたんですよ」

「彼らが動きやすく怪我しにくい機械を導入したり、機械の微調整もしたり、何度も成功しては失敗してを繰り返しながらやっています。例えば、羽毛がつかないように顔の周りには風が来るようにしているんですよ」

「このプロジェクトが、命の尊重や環境配慮などを謳っているのであれば、働く人たちの環境もしっかり整えないといけないと思っています」

【障がい者の方にお聞きした、河田フェザーで働くこと】
河田フェザーでの作業でメインとなるのは羽毛製品の解体作業。羽毛を手作業で取り出していきます。最大8名で作業し、ふとんでいえば1日400枚ほど。手で作業することで、羽毛を傷付けず、生地や糸くずなどが混入しにくいため、ダウン製品のクオリティが向上します。「今8年くらい働いています。自分たちが割いた羽毛がジャンパーになるのが嬉しいですし、やりがいがあります」。河田フェザーでこのような仕事を経験し、成長を重ねることで、社会復帰への道が開けた方々もいます。

2

「Green Down Project」に 参加する3つの方法

リサイクルされたグリーンダウンを使用したダウンジャケット。有名セレクトショップやアウトドアブランドなど、多数の企業がリサイクルダウンの質の良さやサステナビリティに共感しています。

——私たちが“Green Down Project”に参加したいと思ったら、どうすればいいのでしょうか?

「参加の方法は3つありまして、広めること、回収への協力、商品の購入です。広めるとは、『あのお店にリサイクルボックスがあったよ』と友人や知人に伝えること。また、ご自身のSNSで共有していただくなど、ぜひシェアしていただけると嬉しいです」

「“Green Down Project”のリサイクルダウンは新毛よりきれいなんだよ!ってね。そして2番目の参加は、私たちの課題でもある“回収”ですね」

「東京都だけでも年間約100万枚ふとんが捨てられていて、廃棄物の中でも上位になっています。綿の敷ふとんも含まれていますが、羽毛ふとんも紛れているんです。それを回収できたら、ゴミの量も削減できますし、資源にもなります。かなりポテンシャルがあると思っています。お金を使って処分しているものを、お金をかけずに無償提供することで、社会や環境の課題解決に参加できるのです。こうして一人ひとりに“Green Down Project”の共感の環が生まれて、行動と参加が増えて欲しいと思っています」

「今、常設の回収場所は全国で990箇所ほどあります。イベントも含めると1,000箇所を超えます。場所はアパレルショップの店頭や環境団体、リサイクルショップ、ふとん店やクリーニング店など。冗談のようで本気で考えているんですが『みんながご自宅にある羽毛ふとんを捨てずに、それを自転車で回収先に運ぶ姿があたり前になる。その風景がかっこいい』という社会にしたいんです(笑)。回収の風景を日常にしたいですね」

「今日の常識は明日の非常識。どんどん意識が変わっていくでしょうね」

「最後はリサイクルダウンの商品を購入することです。手にとって実際に使うことも参加になりますし、リサイクル羽毛の品質の良さを知っていただきたいですね。使ってもらうことで、品種改良をされた羽毛など現在新毛で抱えている問題をストップさせることにもつながります」

——グリーンダウンはどのくらいの年数、品質を保てるのでしょうか?

「今“Green Down Project”で使っている羽毛は100年くらいですね。当社の新毛や今将来の循環用として保管している『90A』というハイクオリティーのものは、200年くらいは使えるのではないかと思います」

——年間どのくらいのリサイクルダウンを集荷することを目指していらっしゃいますか?

「今は年間300トンの集荷を目指しています。これは新毛で販売されている羽毛ふとんの約10パーセントほど。過去に販売されていた新毛の羽毛ふとんは、国内だけで年間250万枚~300万枚あるので、まだまだ回収のポテンシャルはありますね」

「このプロジェクトは行政の課題であったり企業の課題、消費者であればダウンジャケットや羽毛ふとんなど思い出や愛着があり、それをただ捨てるのはもったいないというお気持ち、それらを解決するひとつのプロジェクトだと思っているので、まだまだ広げていきたい、広がっていくものだと思っています」

このタグが“Green Down Project”によって作られた羽毛を使っている証。将来、大切に着ていただいた方から回収され、またこの工場に戻ってくる日を楽しみにしています。

【羽毛製品の回収場所はこちら】 https://www.gdp.or.jp/collect/ ご自身がお住まいのエリアから近い場所をご確認ください。 【企業・団体、行政の方で回収場所として自身もプロジェクト参加したいという方はこちら】 https://www.gdp.or.jp/contact/corp/

other

他の記事

Follow Us

公式Instagramでも
eloveの最新情報をお届けしています

Instagramを見る
elove
「elove by ZOZO」は
ファッションに関するサステナビリティ情報をお届けします。
elove by ZOZO トップ