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ファッションと
地球環境の関係性って?

これまでのレッスンでは、サステナブルに関連するキーワードを知り、そのキーワードに沿った商品を紹介してきました。今日は環境省の「ファッションと環境」タスクフォースの皆さんに、ファッションと環境の関係性について教えてもらいます。また、自分たちができるアクションやファッションブランドがどのような取り組みをしているのかについてもご紹介します。

PROFILE
環境省

環境省

環境省は、いまの環境をずっと未来につなぐための決まりなどをつくる国の機関です。環境を守るために、今日からすぐにできることを伝えたり、一緒に行動していくことも環境省の仕事です。

ファッションと
地球環境の関係について

環境省の皆さんこんにちは。今日はファッション産業が与える環境への影響などについて、より深く知りたいと思って来ました!色々教えてください。ところで環境省ってどんなことをしているんですか?

環境省では温暖化や水質汚染、海洋プラスチック、森林など様々な問題に日々向き合っています。

今回お集まりいただいた皆さんは『ファッションと環境』に取り組んでいる専門チームなんですよね?

ファッション産業は環境負荷が大きく、様々な問題にかかわることから横断的なチーム(タスクフォース)を結成しています。主に、日本のファッション産業が与える環境や社会への影響についての調査や、情報の発信などをしています。

調査する中でわかった、ファッション産業の課題は何ですか?

ファッション産業は作る過程〜届くまで(サプライチェーン)も非常に複雑で長いので、誰によってどのように生産されているかが分かりにくく、実態が把握しづらいことが課題なんです。関わる人が多いと、どこに問題があって、誰が苦しんでいるのか分かりづらくなりますよね。

1枚のTシャツに関わるサプライチェーン

たしかに、野菜などのサプライチェーンが短いものは生産者から直接買うこともできますもんね。さらに詳しく、ファッション産業が環境へ与える影響について教えてください。

2015年に国連で採択されたSDGsに「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」というゴールがあります。このゴールもファッションに大きな関わりがあるんですよ。
ゴールは2つですが、海の問題、陸の問題どちらも相互に関係しているんです。

海と陸の問題は相互に関係している

まず陸の問題とファッションの関係についてです。洋服の素材となるコットンは畑で作られますが、その際には農薬が使われます。また、ウールやカシミヤなどは家畜の毛を利用していますよね。多くの素材が必要となればそれだけ土地や、家畜の餌、水が必要です。そのため、ファッションは土地の開発や土壌汚染などに大きく関連するんです。

農薬による土壌汚染

放牧地をつくるための森林破壊

続いて海の問題とファッションの関係ですが、最近特に問題視されている「海洋プラスチック」の問題とも関りがあります。2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超えるとも言われており、洗濯によって出るマイクロプラスチックは毎年26万トンと言われているんですよ。海洋プラスチックの問題はまだ新しく、環境や人体などへの影響もまだ未解明の部分が多いので調査が必要なんです。

海洋プラスチックの問題

ファッションと自然はそんなに密接なんですね!私達は環境を守るため、どのようなアクションをしたら良いのでしょうか。

私達はよく「モノの物語」を語れるようになってほしいとお伝えしています。商品の生産の背景、どのような素材でどこで作られているのか、どうお手入れしたら良いのか、手放した後にどうやって処理されるのか、知ったうえで購入、選択していただきたいと思っています。

【身近なアクション】
洗濯ネットを使用する

【身近なアクション】
認証マーク付きのアイテムの購入

【身近なアクション】
リサイクル素材のアイテムの購入

SDGsではTransforming Our World「世界を変革する」と謳っています。ファッションなどの身近な存在から問題を知って、そこから生活を見直して「暮らしのトランスフォーム」をしていきたいですね。

壮大な問題が多くて何をしたら良いのか分からなかったのですが、生活の中の身近なアクションの積み重ねでいいんですね。

はい!一人ひとりが地球環境を守ることが出来るという意識を持つことが重要です。消費者の購買行動が企業を動かします。良い製品を購入することで、企業の考え方が変わり、製造プロセスが変わり、世界が変わる。一人ひとりが世界を変える力を持っているんです。

今日はありがとうございました!

ブランドの
取り組みを知ろう
陸から海へ流れ出るプラスチック廃棄物などをはじめ、陸でおこなわれる活動は海にも大きな影響があります。今回は日本や世界の海を調査・分析するプロジェクトを2003年から続けているagnes b.さんをご紹介します。
科学調査船
タラ号で海を守る
環境に対するアクション
デザイナーのアニエスべーが創設したTara Océan財団は、世界中の海を航海し、環境的脅威や気候変動の影響を調査研究する科学探査プロジェクトを実施しており、日本ではマイクロプラスチック汚染の共同調査を行っています。また、agnes b.の店舗では子どもたちに地球環境の問題について関心をもってもらうためのポスターコンクールの開催や、活動支援のための売上金が全額寄付されるコラボアイテムを販売しています。

まとめ

今回は環境省のみなさんに、ファッションの環境問題や陸や海に与える影響について教えていただきました。ファッションは、誰にとっても不可欠で身近なものだからこそ、1人ひとりのアクションが環境や社会に大きな影響を与えます。一歩ずつ、わたしたちにできることから一緒に始めていきましょう。
  • ファッションアイテムは生産・加工の過程が長く、販売までにたくさんの人が関わっている
  • 環境に配慮した商品を選ぶことが陸の豊かさや海の豊かさを守ることにつながる
  • 商品の選択を通して一人ひとりが地球環境を守ることが出来るという意識を持つことが大切