2020.9.18

時代に左右されない、服自体の
良さを追求する「SHINYA」。
細部まで徹底したこだわりとは #1

SHINYA

熟考されたミリ単位の縫製、形、色。「SHINYA(シンヤ)」の服は全てのディティールが連動し、調和している。普通に見えて普通じゃない。ぜひ彼の作る服を「見て・着て・感じて欲しい」。服マニアがこぞって夢中になる「SHINYA」のデザイナーTAKEDA SHINYAさんに、ご自身からブランドのことまで語っていただいた。

TAKEDA SHINYA

SHINYAデザイナー

1992年生まれ。2015年明治大学政治経済学部卒業。大学3年生の時に独学で服作りの研究を始める。セントラル・セント・マーチンズ校に短期留学。2016年にブランド「SHINYA」を設立し、2017年2月南青山に旗艦店をオープン。その後2019年4月岡山に2号店をオープン。

  • “ブランドを始めたきっかけは、
    着たい服がなかったから”

    • 服づくりのきっかけを教えていただけますか。

      TAKEDA SHINYA

      幼少期から服に詳しかったわけではなく、大学に進学して、私服を毎日着る必要がある状況になってから興味を持ち始めました。最初のうちはよく古着屋を回っていて、そこからコレクションブランドとかを見るようになりました。とにかくまんべんなくチェックするようになっていましたね。
      それで大学3年の時に、もう自分が本当に着たいと思える服がないなってなって。それで「じゃあ作るか」という感じで服作りの勉強を始めました。

    • そのあとにセントラル・セント・マーチンズ校に留学されたんですね?

      TAKEDA SHINYA

      はい、そうです。でも留学している時は、ファッションではなく、ほぼアートの勉強をしていました。服作りは基本的に独学ですね。

    • 2016年にブランドを立ち上げましたが、そのきっかけはなんでしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      やはり会社に勤めてしまうと、自由に自分の好きな服が作れないですから。それに、とにかく早く自分の服が欲しかったので約一年間は縫製工場や生地メーカーなどを回りつつ、経理などを勉強して、その後ブランドを立ち上げました。
      ブランドの設立は2016年の6月ですが、ちゃんと始めたのは翌年の2月に青山店を開いてからです。まぁ社会に出たこともなく、いきなり会社を始めてしまったので、色々と不安はありましたが、もう後戻りできない状態だったので、とにかく自分を信じて少しずつ前に進みました。

    • いきなりブランドを立ち上げたのは大変だったのでは?

      TAKEDA SHINYA

      本当に突然ブランドを始めようとしたので、まず繋がりを作ることがかなり大変でしたね。よさそうな工場に電話やメールで問い合わせて、見学させてもらってって感じで地道に探しました。経歴もツテもなかった自分に、丁寧に対応してくれた方たちには本当に感謝しています。
      ちなみに、全くツテもなくブランドを始めることはかなり無謀なので、私のようなやり方はおすすめしません(笑) 必ずどこかで修行してからの方がいいと思います。

  • 接客など全てを一人で行う青山店

    • 店舗を青山にオープンした理由は何でしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      青山という街が好きなので。青山って、コレクションブランドとかよいセレクトショップがだいたい揃ってるんですよね。だから営業前後にふらっと見に行けますし。それに人通りが落ち着いてるので、人混みが苦手な自分には非常にありがたい。うちの店は骨董通りから少し中に入ったところのビルの三階にあって、しかも看板を出してないので、非常に分かりづらいんですが、まぁ知ってる人だけ来てもらえればいいなって思っているので、むしろ気に入っています。

  • “アイテムへのこだわり”

    • ブランドの特徴はなんでしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      ファッションではなくクローズということですかね。ファッションというよりも服そのもののデザインにこだわりが強いです。うちはトレンドに沿った服というよりは、いつの時代でも適応するタイムレスな服作りをしています。色々とたくさん服を見てきた人によさがわかるような服ばかりなので、だいぶオタク向けのブランドだと思います。欲しい服がないなって思ってる人がいたら、ぜひ一度見てもらいたいですね。

    • 縫製のこだわりはありますか?

      TAKEDA SHINYA

      基本的に運針数を細くしています。そうすると、耐久性が上がりますし、縫い目が柔らかく仕上がるので、肌当たりがよくなります。またステッチが目立たないようになるので、綺麗目な印象になりますね。かといって、細かくしすぎるとよくないので、有効だと思う範囲内で運針数を上げています。

    • ブランドタグが付いていませんが、その理由は何でしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      タグを付けることによって着心地がよくなるわけではないですし、むしろチクチクしたりして邪魔だなと思っているので。もちろん品質表示タグは付けています。ですが見た目がよくないので、なるべく中に隠すようにしていますね。例えばジャケットやコートならポケットの中に付け、裏返しても見えないようにしています。

    • 「SHINYA」の服は洗濯機で洗えるものが多いと聞きました。

      TAKEDA SHINYA

      はい、個人的にクリーニングに出したりするのが面倒なので、なるべく普通に洗濯機で洗えるような素材と仕様にしています。生地はよい糸を高密度に織り上げ、薬品などでべったり加工をしないようにしているので、洗濯を繰り返すうちに風合いがよくなります。また変なシワがつかないので、基本的にノーアイロンで着れますよ。ちなみに乾燥機は生地が傷むので、なるべく避けてください。
      あと洗剤は合成界面活性剤が入ってないものだと、生地にも肌にも環境にも優しいのでおすすめです。

  • “初めての人に着てほしいアイテム”

    • 「SHINYA」でおすすめのアイテムはなんでしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      強いて言えば「Astolfo(アストルフォ)」という型名のチンストラップ付きバンドカラーシャツですね。第3ボタン以上を開けたときにチンストラップがしなり、いい感じに動きが出るので気に入っています。

  • 今回作製したアイテムもこだわりのボタンで作っている

    • シャツのボタンにもこだわりがあると伺いました。

      TAKEDA SHINYA

      今回のシャツには白蝶貝を使用しています。シャツに限りませんが、全て天然のものを使うようにしています。人工物では出ない風合いが好きなので。あと細かい話しなんですが、ボタン穴が真ん中に寄っているものを使用しています。そうすると、ボタンの見える面積が大きくなり、より天然素材の美しさが際立ちます。また穴が目立ちづらくなるので、ミニマルな印象が出ますね。

    • 着心地もよいと伺いました。

      TAKEDA SHINYA

      ありがとうございます。ポイントとしては、アームホールを少し太めにしているところでしょうか。アームホールが細いと襟が首にピッタリ当たってしまい、結構ストレスになります。またアームホールが太いと腕が上げづらくなるんですか、そこもパターン上で解消させています。部屋着として着たくなるぐらいの着心地を楽しめると思います。

    • TAKEDA SHINYA

      身幅などは少しゆとりのあるサイジングですが、肩はジャストにして落ちないようにしています。そうすると、着心地は楽なんですが、見た目はきっちりして見えるんですよね。

  • “徐々に広がりを見せる「SHINYA」”

    • 現在岡山でもショップ展開をされていますが、そのきっかけはなんでしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      2店舗目は考えていなかったんですが、岡山に住んでる常連さんにぜひやりませんかって言われて。その方はかなりの服オタクで、知識量もしっかりあったので、「じゃあやりましょうか」って感じでオープンすることになりました。岡山店にはうちのブランド以外に「Le Yucca’s(レユッカス)」「forme(フォルメ)」「T・MBH(ティーエムビーエイチ)」など、本当にクオリティの高いブランドを取り扱わせていただいています。服だけではなくバーも併設しており、地元で採れた食材などを使って軽い料理も出しています。気軽にぜひ一度お越しいただければ幸いです。

  • 看板もない青山店はまさに知る人ぞ知る店舗。

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