2020.9.21

時代に左右されない、服自体の
良さを追求する「SHINYA」。
細部まで徹底したこだわりとは #2

SHINYA

熟考されたミリ単位の縫製、形、色。「SHINYA(シンヤ)」の服は全てのディティールが連動し、調和している。服マニアがこぞって夢中になる「SHINYA」のデザイナーのTAKEDA SHINYAさんに、ご自身からブランドのことまで、詳細に語っていただいた。#2では本企画で販売するアイテムのポイントや製作秘話についてお届けしよう。

TAKEDA SHINYA

SHINYAデザイナー

1992年生まれ。2015年明治大学政治経済学部卒業。大学3年生の時に独学で服作りの研究を始める。セントラル・セント・マーチンズ校に短期留学。2016年にブランド「SHINYA」を設立し、2017年2月南青山に旗艦店をオープン。その後2019年4月岡山に2号店をオープン。

  • “卸をしない「SHINYA」が作
    る特別アイテム”

    • 企画の話が来た時はどう思いましたか?

      TAKEDA SHINYA

      基本的に卸やコラボはしないんですが、話を持ちかけてくれた担当の方(ZOZOスタッフ)がかなりの服オタクで、一緒に何かやったら面白いかなと思ったので、特に考えもせず「ぜひ」と即答しました(笑)

    • アイテムの選定理由を教えてください。

      TAKEDA SHINYA

      クロシェットとシャツの2アイテムを作りました。クロシェットは「SHINYA」でも販売しているものですが、今回の企画用にコードバンで作りました。シャツは某ブランドの名品をベースにデザインしました。実は1年ほど前に試作品を作ったことがあるんですが、自分の解釈を入れてもオリジナルのデザインから抜け出せず、製品化は難しいなと思い、お蔵入りさせていました。ですが担当の方にぜひそのシャツをやりましょうとおっしゃってもらったので、今回の企画用に調整して作ることにしました。

  • “クロシェットの魅力”

    • 今回のクロシェットのこだわりをお伺いします。

      TAKEDA SHINYA

      一番推したいところは、やはりコードバンという素材。コードバンは繊維の密度が高いので、表面が非常に綺麗です。よく革の宝石と言われることもありますが、まさにそう感じさせる他にはない魅力がありますね。アイテムに使用したコードバンは日本の職人がなめしたものを使用しています。通常よりオイルが入っているので触り心地がしっとりしながらも耐久性に優れていて、それによりよい経年変化をしてくれます。
      仕様の特徴としては、うちのクロシェットは革を2枚貼り合わせて作っています。内側を覗いたときも綺麗ですし、少し膨らみができるので、立体感が生まれます。今回は裏面にスムースのラムレザーを使っています。裏面もコードバンにしてしまうと硬くなりすぎてしまうのでバランスよく仕上げました。

    • TAKEDA SHINYA

      加えて紐の長さもポイントです。内周は約115cmと少し長めにしています。本体部分の大きさに対して、顔からこのぐらいの距離が無いとバランスが悪くなってしまうので。機能的にも長い方が動かせる範囲が広がって便利です。あと細かいですが、紐の先端をしっかりコバ塗りしています。こうすることで紐の先が解けづらくなり、また見た目も綺麗になります。

    • どんなコーデに取り入れるのがおすすめでしょうか?

      TAKEDA SHINYA

      色が黒ですし、派手なデザインではないので、ほとんどのコーデに合うと思います。特にトップスがTシャツやシャツ一枚だけで何か物足りなさを感じたときに、よいアク
      セントになってくれますよ。

  • メンズウェアとしてアップデートした名作シャツ

    • 今回作られたシャツのこだわりをお伺いします。

      TAKEDA SHINYA

      デザインベースになったシャツを発表していた時期の某ラグジュアリーブランドのコレクションはウィメンズですが、メンズっぽいデザインが多いので、むしろ男性に人気があるように思います。とはいえ、どんなに見た目がメンズっぽくてもウィメンズ用として仕上げられているので、そこをいかにメンズウェアとして昇華できるかをこだわりました。

    • オリジナルと今回のシャツの違いを教えてください。

      TAKEDA SHINYA

      まず裾です。12cmのスリットを設定しています。オリジナルにはスリットがないので、お腹下とお尻の形が出やすくなります。女性であればセクシーですが、スリットを入れてボディラインが出ないようにしました。また左側に両玉縁ポケットを付けました。両玉縁ポケットはメンズウェアの基本であるテーラードジャケットに良く使われるポケットなので、男性らしさがプラスされたと思います。ちなみにポケット幅が16cmとシャツにしては長めです。洗濯をしないテーラードジャケットとしては一般的な長さですが、ガンガン洗うシャツだと長すぎて口が開いてきてしまいます。なので、端から4cmのところにカン止めをし、口が開くのを防止すると同時にペン差しポケットとして機能させました。さらに表から中の布袋を固定するように縫うことでより口が開きづらくなっているので、あまりケアなどを気にすることなく着れるんじゃないかと思います。

    • どのように取り入れるのがおすすめですか?

      TAKEDA SHINYA

      まずインナーが大事ですね。インナーは丸首の白Tか白系のタートルネックはどうでしょうか。パンツはグレー系のスラックスなどと相性がいいと思います。個人的にはブラックのパンツとコートに合わせて、このサックスブルーのシャツと白Tがチラッと見えるコーデがおすすめです。あとサイズが合うならぜひ女性にも着て欲しいですね。ウィメンズをメンズに再解釈した一着なので、面白いバランスで着れるんじゃないかと思います。

  • “よい服とは「着れば分かる服」”

    • どんな方にアイテムを着てほしいですか?

      TAKEDA SHINYA

      まずは人としてマナーや礼儀をしっかり持っている方に着てほしいですね。今は様々な情報を簡単に入手できる時代ですので、凄くセンスがあって、よい服を持っている方がたくさんいらっしゃいます。そういう方たちがどういう風に着るのか非常に楽しみですね。
      あと最後に一言だけ。これまでディテールに関してお話ししてきましたが、これはあくまで手段であって、目的ではありません。目的は身につけたときになんかよいなと思ってもらえることです。なので手段の一つでしかないディテールや素材ばかりに目を捉われすぎず、もっと広い視野で服を着てもらえたらなと思います。

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